スポンサーリンク

先生
SNSで「死にたい」と書き込むなどした男女9人の若者が殺害等された、神奈川県座間市の事件、本日、被告人に死刑判決が言い渡されました。被害者の方々のご冥福を改めてお祈り申し上げます。
裁判の最大の争点は、被害者が被告人に殺害されることを同意していたかどうかでした。
被害者の同意があれば犯罪が成立しないのか、考えてみました。

 SNSで「死にたい」と書き込むなどした男女9人の若者が殺害等された、神奈川県座間市の事件裁判の最大の争点は、被害者が被告に殺害されることを同意していたかどうかでした。

 被害者は、SNSで自殺を望むような書き込みをしていました。被告人は、そんな被害者SNS上で誘い出し、殺害しました。このため、被害者が、自分が殺害されることに同意していたかという点が問題になったんです。

 

 被害者の同意があるとき、成立しない犯罪は意外と多いです。

 例えば、暴行罪。暴行って思っている以上に広く考えられていて、人にモノを投げつけたり、服を引っ張ったり、髪の毛を切る行為なんかも暴行だとされています。同意があっても、暴行罪が成立しますということであれば、ドッジボールもラグビーも美容院も全部暴行罪ってことになっちゃいます。なので、暴行罪は同意があれば成立しないんです。

 

 他にも、傷害罪。例えば、人に暴行を加えてケガをさせてしまった場合です。例えば、あるテレビ番組で、笑ったら罰ゲームでケツバットされるという企画があったとします。何度も何度も罰ゲームを受けているうちに、お尻がどんどん赤く腫れて、青あざになる。内出血しているのでケガをしたわけです。じゃあ、このとき傷害罪が成立するのかっていうと、そんなわけありませんよね。出演しているタレントさんが、企画を理解し、ケツバットされることに、そしてその結果多少の青タンになることに、同意しているからです。

 

 では殺人罪はどうでしょう。この場合、被害者に同意があっても、犯罪は成立します。でも殺人罪よりも減刑された同意殺人罪っていう罪が成立するんです。ただ、同意といっても、大切な命を放棄するって同意なので、被害者の本当の本当の気持ちじゃないといけません。

 

 この部分に関して、座間事件では、判決で、「被害者の想定とかけ離れた形で殺害されることに・・承諾(同意)があったと見る余地はない」「被告人に殺害されることについて、・・・真意に基づく承諾(同意)をしていなかった」として、同意殺人罪の成立を認めませんでした。

 

 SNSで悩みを発信して、誰かに相談することは決して悪いことじゃありません。実際に、SNSで相談機関に相談した結果救われた命は数えきれないくらいあります。ただ、相談する先を、個人じゃなくて、支援活動をしているNPOだったり、もちろん私たちでもいいので、社会の中に埋め込まれた組織にしてほしいなって思います。

改めて被害者の方々のご冥福をお祈り申しあげます。

スポンサーリンク

LINE_Teens Law

おすすめの記事