新型コロナウイルス対策のために、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」が改正されました。
注目すべきは、休業の要請(お願い)に応じない事業者に対し、「命令」をできるようになり、それに違反した場合には「過料」の支払を命じることができるようになりました。
今日は、「命令」が出る場合ってどんな場合?ってのを整理していきましょう。
まず休業の要請に応じない場合に出される「命令」。要請に応じないからといってすぐに出されるわけではありません。「命令」を出すには①(事業者が)要請に応じない正当な理由がないこと、②まん延防止、国民の生命・健康の保護、国民生活・国民経済の混乱防止のため「特に必要があると認めるとき」にあたること、という2つの要件を満たすことが必要です。
①の「正当な理由」とは、ざっくりいうと、そのお店が開店してないと、その地域の人が生活できないよとか、その地域の病院が運営できないよっていう、ものすごく限られた場合です。
次に、②の「特に必要があると認めるとき」とは、ざっくりいうと、一般にその業種でクラスターが発生していることが確認されていることのほか、その店舗でいわゆる「3密」に当たる環境が存在する(コロナ対策をとっていない)というような場合です。
①はなかなか満たすことは難しそうだけど、②であれば色々と事業者(店舗側)も言えそうですね。「いやうちの業種はクラスター発生してないんですよ。」とか、「3密にならないよう、入場制限設けたり、間仕切りしたりしてるんですよ」とかです。
加えて、「命令」を出すにあたって、このような事情があるかないかを、学識経験者へ意見聴取したうえで判断しないといけません。
こんな風に、「命令」を出すに当たって、事業者(店舗側)の事情も個別具体的に、そして専門的に考慮されますので、単に要請に従わないから即「命令」というとんとん拍子で事が進むわけではないということを押さえておきましょう。
以前の記事で書いたように、事業者の憲法上の権利である「経済的自由」を国・地方自治体が制限するわけなので、ある程度厳格な要件が定められたわけですね。
次回は「命令」に従わない場合の「過料」について解説しますね。