人気アイドルが隠れて男女交際していたことがテレビや週刊誌で取り上げられることがあります。
交際が発覚すると、アイドルが謝罪をしたり、アイドルグループを脱退したりすることも多いです。
ファンとしてはショックな気持ちや裏切られた気持ちになります。
アイドルが所属している芸能事務所も売り出し中のアイドルが交際発覚によって人気が下がったり、脱退となると大きな損害になります。
アイドルも1人の人なので、恋をすることもありますし、男女交際をすることもあるでしょう。
しかし、芸能事務所との関係では、「恋愛禁止ルール」を定められている場合があります。
このような「恋愛禁止ルール」を破ったアイドルはどうなるのでしょうか?
アイドルの恋愛禁止ルールとは?
有名人気アイドルグループには「恋愛禁止ルール」があるそうです。
アイドルとして売れていくために、スキャンダルにならないように、彼氏・彼女を作らないという覚悟をする、という意味でマイルールとして、「恋愛禁止ルール」を自分の中で決めるアイドルもいます。
しかし、多くは、芸能事務所との間で「恋愛禁止ルール」という契約を結んでいるのです。
芸能事務所とアイドルは契約書を作っていることが多いですが、その契約書には、次のような約束が書かれています。
これは実際にあった約束内容です。
アイドルAの場合
「アイドルAが、ファンとの親密な交流・交際等が発覚した場合には、芸能事務所との契約を解除して、芸能事務所はアイドルAに損害の賠償を請求することが出来るものとする。」「私生活において、男友達と二人きりで遊ぶこと、写真を撮ることを一切禁止します。発覚した場合は即刻、芸能活動の中止及び解雇とします。CDリリースをしている場合、残っている商品を買い取って頂きます。」 「異性の交際は禁止致します。ファンやマスコミなどに交際が発覚してからでは取り返しのつかないことになります。」
アイドルBの場合
「ファンと性的な関係をもった場合またそれにより芸能事務所が損害を受けた場合には、芸能事務所所はアイドルBに対し直ちに損害賠償を請求することができるものとする。」
このような約束をアイドルは芸能事務所としています。そのため、もしファンとの恋愛が発覚した場合は、芸能界の引退やアイドルグループの脱退だけでなく、芸能事務所が受けた損害の賠償を請求することになります。
芸能事務所の「損害」って何?
恋愛禁止ルールをアイドルが破った場合、芸能事務所に生じる「損害」とは何か?
アイドルの交際発覚によって芸能界引退やアイドルグループが解散になった場合には、今後アイドル活動によって得られただろう利益を芸能事務所が得る可能性はなくなります。アイドルというのは、歌やダンスのレッスン費用やメディア露出費用など芸能事務所が負担することが多く、アイドルが売れて初めて、アイドルに投資した費用が回収でき、利益を得ることができるようになります。
このような将来得られたであろう利益が会社の「損害」になります。
また、そのアイドルのグッズをいっぱい作っていた場合、そのグッズは売れなくなってしまいます。そうすると、そのグッズの在庫分も会社の「損害」といえるかもしれません。
実際にあった裁判では、500万円から800万円ほどアイドルに請求されたものもありました。アイドルの人気があればあるほど、将来得られた利益やグッズの在庫は多いと思いますので、会社の「損害」も大きくなって、もしかすると数千万円以上の請求になるかもしれません。
恋愛禁止ルールを破ったアイドルは芸能事務所の損害を賠償しないといけないのか?
恋愛禁止ルールを破ったアイドルが、会社の「損害」を賠償すべきか?どれぐらいの金額を賠償するか?について、アイドルと芸能事務所との契約内容や関係などによって、判断が分かれてる裁判例があります。アイドルに賠償責任を認めた裁判例と認めなかった裁判例の両方あります。
2つの裁判例を紹介しますが、2つとも芸能事務所と恋愛禁止の約束をしていたにもかかわらず、それを破って男女交際をしてしまったというケースです。
アイドルAの場合
恋愛感情から異性と交際することや性的な関係を持つことは、自分の人生を自分らしくより豊かに生きるために大切な自己決定権そのものです。そのため、損害賠償という制裁をもって恋愛を禁止することはアイドルであっても、行き過ぎです。
アイドルが積極的に芸能界引退やグループの解散をさせるなどして積極的に芸能事務所に損害を与える目的で交際を暴露する場合など以外であれば、賠償の責任はありません。
アイドルBの場合
異性とラブホテルに行ったこと自体は違法な行為とはいえませんが、もしそれが発覚すればアイドルグループ活動に影響が生じてその結果グループが解散し、芸能事務所に損害が生じることは簡単に予想できたはずです。それにもかかわらず、あえてルールを破ったのだから、芸能事務所の損害を賠償しなさい。
アイドルAとアイドルBでは、何が違ったのか?
真実は裁判官にしか分からないかもしれませんが、アイドルAはほとんど給料がもらえていなかたという可哀そうな事情があった一方、アイドルBは恋愛禁止についてよくよく説明がされていたという事情があったので、これらが影響したのかもしれません。
ファンが恋愛禁止のアイドルと付き合ったら訴えらえる?
実際に、恋愛禁止ルールに違反した女性アイドルとその交際相手のファンの男性が訴えられた裁判があります。
裁判官は、女性アイドルが恋愛禁止ルールに違反したとして芸能事務所の損害を賠償する義務がないと判断しました。そのため、ファンにも責任は無いとされました。
一般的にも、アイドルと交際したファンは、芸能事務所と何らかの約束をしたわけではありませんし、アイドルと交際するのに芸能事務所の許可が必要という法律のルールもありません。
ですので、ファンが芸能事務所の損害を賠償する理由はありません。
ただし、アイドルを芸能界から引退させてやろう、芸能事務所に損害を与えてやろうという目的で恋愛禁止のアイドルと付き合っていることを言いふらした場合は、芸能事務所の損害を賠償しないといけなくなるかもしれないと警告しています。
もし、あなたが恋愛禁止のアイドルと付き合った場合でも、絶対にSNSに拡散させたり、匂わせ行為をすることは辞めましょう。訴えられる可能性があります。
恋愛禁止ルールのルールを破ると賠償金を払わないといけない可能性がある。
アイドルと付き合っても絶対に言いふらしたりしてはいけない。
でも、約束を守ることも大切です。もしアイドルと付き合うときは周りに迷惑がかからないよう注意しましょう。