待ちに待ったアイドルのコンサート。気合は十分、準備も十分な状態で参加することになります。
最高の思い出を期待した半面、テンションが上がりすぎて周りがみえなくなることもあります。
問題になることの1つがオタ芸です。最近は、オタ芸を禁止するコンサートもあるようです。
オタ芸をすることは許されるのでしょうか。また、オタ芸を止めて欲しいと言ってもいいのでしょうか。
コンサートのチケットを買ったら、どこまで要求できるのか?
アイドルのコンサートに行くためにはチケットの購入することになります。
これを法律的にみると、コンサートの鑑賞(かんしょう)契約を結んだことになります。
では、コンサートの鑑賞契約とはどのような契約なのでしょうか。
主催者側としては、楽曲の演奏を提供する義務があることは明らかでしょう。
ただし、アイドルに楽曲を演奏させればいいというわけではなさそうです。
なぜなら、聞き手がいて初めてコンサートは成り立つからです。
つまり、一方的に演奏しても、それが聞こえなければ全く意味がありません。
そこで、楽曲の鑑賞にふさわしい環境を作ることやもし環境が悪くなるようなことがあれば、その原因を取り除くことが必要とされています。
逆に言うと、コンサートに参加する側としては、「歌や演奏を聴くのにふさわしい環境にしろ!」と運営に要求できるのです。
「歌や演奏を聴くのにふさわしい環境」とは、具体的には?
「歌や演奏を聴くのにふさわしい環境」というのは具体的にどのような環境なのでしょうか。
「最前列のアリーナ席で見せろ!」「私1人だけのためにコンサートをしろ!」「アイドルとハイタッチできるようにしろ!」、それがふさわしい環境だ!というのは、さすがに無理があるでしょう。
どのような環境が「歌や演奏を聴くのにふさわしい環境」か?というのは、基本的に運営側が考えることになります。
例えば、あるアイドル歌手のコンサートでは、次のようにルールが決められています。
参加者が全員楽しめるようにするためや防犯などいろいろなことが考えられています。
- 手荷物検査と金属探知機による検査を行うこと
- 大きな荷物を持ち込むことを禁止し、持ち込める手荷物のサイズを指定すること
- 横断幕の持ち込みを禁止すること
- 持ち込めるサイリウムのサイズを指定することや過度に発行するサイリウムの持ち込みを禁 止すること
- 公演中、湖心の席以外での観覧を禁止すること etc
このようなルールがある場合には、参加者としてはルールを守らないといけませんし、ルールを守らなければ退場させられることもあります。逆にルールを守っていない参加者がいれば、主催者に注意してもらうことができます。
オタ芸は「歌や演奏を聴くのにふさわしい環境」の妨害か?
オタ芸というアイドルオタク特有のパフォーマンスがあります。
実は、実際に、オタ芸のせいでコンサートに集中できなかったとして、主催者に裁判をした事例があります。
その裁判では、オタ芸は「歌や演奏を聴くのにふさわしい環境」の妨害とされたのでしょうか。
問題になったオタ芸の内容とは?
楽曲の演奏中に「オー,オー,オー」、「せーの、はーい、はーい、はい、はい、はい」、「ウッ、ハッ、ウッ、ハッ、ウッ、ハッ」、「ホーーーーー、ホワホワ」「せーの、おーい、おーい、おい、おい、おい、」「よっしゃー、いくぞ、サイバー、ダイバー、ジャージャー」などの掛け声をあげていたそうです。
文字にすると、なかなかシュールですが、脳内再生してみてください。
人によっては、演奏の妨害と感じる人がいるかもしれませんし、盛り上がるし楽しいと感じる人もいるかもしれません。
裁判の結果は?
裁判では、オタ芸は、コンサートの雰囲気を盛り上げる側面もあり、悪意をもって妨害するものとは違うので、主催者の判断に任せるべきだ、と裁判官が判断しています。
つまり、主催者があらかじめルールとしてオタ芸を禁止していないのであれば、オタ芸はしてもいいと考えらえています。
そのためオタ芸でコンサートに集中できなかったとしても、チケット代金の返金を求めたり、コンサートのやり直しを求めたりはできません。
「歌や演奏を聴くのにふさわしい環境」を運営に求めることができる。
オタ芸は禁止されていなければやってもいい。