アイドルはライブ活動をしたり、テレビに出たりなど華やかな面が多くあります。
そのため、「アイドルになりたい!」と思う人が多くいます。
将来、アイドルとして売れたい!と思っている人もいますし、青春時代の思い出としてアイドルをしたいと思う人など理由はさまざまです。
ライブハウスなど地下にある小さなスペースを主な活動拠点としている地下アイドルというものもあります。
アイドルは華やかな反面、ヤミ深い一面もあると言われています。
その一つとして、自由に辞めれないのではないかという点があります。
アイドルってどんな契約なの?
アイドルは一般的に芸能事務所に所属します。
この「所属」する、というのは、法律的にいうと、契約するという意味です。
つまり、アイドルは芸能事務所と契約をしているのです。
細かい契約内容は芸能事務所それぞれで違いますが、芸能事務所が主催するイベントや他の会社が開催するイベントに出演し、出演料や報酬を貰うという契約になります。
このアイドル契約には2つの種類があります。
- 芸能事務所に雇われ、労働者として給料を貰うアイドル契約
- 芸能事務所を取引先として、自営業として報酬を貰うアイドル契約
です。
労働者として給料を貰うアイドル契約は、みなさんがアルバイトをする際に給料を貰って働くのと同じです。仕事の内容がアイドルというだけです。
自営業者として報酬を貰うアイドル契約は、自分で会社を立ち上げ、芸能事務所と取引をしているというのとほぼ同じ意味になります。つまり、アイドル自身が社長のイメージです。
自由に辞めれないの?
アイドルとして芸能事務所として契約する場合は、多くのは「3年間の契約」など期間を決めることになります。そして、3年を過ぎると契約を続けるか辞めるかという話をすることになります。
契約の期間が終われば自由に辞めることができるのは、労働者として給料を貰うアイドル契約と自営業として報酬を貰うアイドル契約とで変わりありません。
でも、契約期間の途中で辞めることができるかどうかは、2つのうち、どちらであるかで変わってきます。
日本の法律では、労働者と自営業者を比べると、労働者を守るためのルールが多くあります。
なぜなら、雇い主と労働者との関係は、雇い主の方が強いので、雇い主が労働者をいじめないようにする必要があるからです。
労働者の場合であれば、ある程度自由に辞めることができるのです。
労働者か?自営業か?
では、労働者としてのアイドル契約と自営業としてのアイドル契約は、どのように区別するのでしょうか?
労働者を守る国の組織が区別の方法を示しています。
次のすべてに当てはまる人は、自営業で、1つでも当てはまらなければ労働者と判断するようです。
- 歌や演技が他の人では代わりができず、芸術性や人気など本人の個性が重要な場合
- 働いた時間が短いか長いかで貰えるお金が決まらない場合
- 出演時間などのスケジュールの関係で時間が決められている場合はしょうがないけど、芸能事務所との関係で時間的に拘束されていないこと
労働者か自営業かで揉めた裁判
アイドル活動をしていた女の子が、辞めたいと言った後、イベントを欠席したことから、芸能事務所がアイドルに190万円の損害を弁償しろと訴えた裁判が東京でありました。
女の子は、アイドルグループに所属して、ライブやファンとの交流、撮影会、コスプレイベントへの出演、ビンタ券を購入したファンへのビンタなどの活動をしていました。
この女の子がアイドルかどうかについて、裁判官の判断を紹介します。
歌や演技が他の人では代わりができず、芸術性や人気など本人の個性が重要な場合
アイドルの女の子はグループでの活動がほとんどで、他のメンバーや新規メンバーで代わりができないほど芸術性が高かったり人気が高かったりしない。
働いた時間が短いか長いかで貰えるお金が決まらない場合
出した結果やイベントでの売上げに応じて給料の金額が変わっていて、給与明細書も貰っていた。
出演時間などのスケジュールの関係で時間が決められている場合はしょうがないけど、芸能事務所との関係で時間的に拘束されていないこと
芸能事務所がアイドルの女の子に対して出演するイベントなどを指示して、それに従ってアイドル活動をしていて、夜遅い仕事も何回もさせられているので、時間的に拘束されていた。
と判断し、アイドルの女の子は自営業ではなく、労働者だから自由に辞めることができると判断しました。
そして、辞めると言っていたんだから、イベントに欠席して芸能事務所に損害が出ていても弁償しなくてもいいと判断しています。
さいごに
アイドル活動の内容や給料額の決め方、事務所の指示に逆らえないかどうか等いろいろな事情から、アイドルが労働者か自営業かが決められることになります。
芸能事務所としては、アイドルが売れるようにいっぱいお金を使っているので、簡単に辞めさせてはくれません。でも、芸能事務所が言っていることが必ずしも正しいわけではないということが分かると思います。大人でも間違ったことをいうことはあります。
アイドルは労働者か自営業か?
労働者ならある程度自由に辞めることができる。