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先生
労働時間外であっても、一定の範囲で、労働者の自由を拘束することは可能です。

イオンが働く45分前の喫煙を禁止して、賛否の声が聞かれますね。
未成年はもちろん喫煙はできないけど、社会で問題になっているので、一度考えてみてほしいと思って記事にしました。
タバコ嫌いな人が賛成して、タバコ嫌いな人が反対して・・そんな風潮に見えるきらいがありますが、そういう感情は置いておいて、一度冷静に分析してみましょう。

今回のポイントは、従業員の労働時間の前(つまり労働時間外)に、企業側が従業員にタバコを吸うなと言っているところです。

基本的に労働者は、労働時間外は自由です。バイト中に店長にあれこれ指示されても従いますが、バイト時間が終われば従う義務はありません。
バイト中、お菓子を食べながら仕事しないでと店長に言われれば、さすがにお菓子を食べながら接客するとお店の評判を下げるので、従いますが、バイトの10分前に「今日も頑張るぞ。」と思ってチョコを食べたら、店長から「バイトの直前はお菓子を食うな。」と言われても、「は?!」って思うだけですよね。
それと同じで、今回のお話でも、反対派の人は、労働時間外の労働者は自由でしょというところを強調しています。簡単にいうと、プライベートでタバコ吸ってるのに何が悪いの?ということです。
これはこれで論理的に筋は通っています。

一方で、賛成派の人に少し感情的な意見が目立つように思います。今回の就労45分前の喫煙の禁止に関して、私も禁止は可能だという立場です。
ただ、賛成派の人の中には、身だしなみと同じ問題だ、臭いんだよ、こんなご時世でタバコなんて吸うななどなど、少し感情的な意見も目立つのでなんか残念です。

理論的に見ていきましょう。
企業は、企業の秩序を維持するためだったり、企業の社会的評価を傷つけないため、労働時間外であっても労働者の自由を一定程度制限できます。
今回の件でいえば、労働の45分前は喫煙を禁止していますが、この45分というのがミソなんです。

喫煙で害があるのは、受動喫煙(喫煙者の吸っているタバコの煙を第三者が吸うこと)だけではなく「三次喫煙」が最近問題視されています。
「三次喫煙」とは、今目の前でタバコを吸っているわけではないけど、身体とか息とか、部屋の壁紙とかに、タバコ成分が残ってしまっていることによって健康被害を受けることです。
イメージしてもらうとわかりやすいのは、古いカラオケボックスとか行ったら、タバコを吸っていないのにタバコ臭いですよね。タバコの匂いを感じるということは、タバコの成分が嗅覚に吸収されている、それが「三次喫煙」です。
で、産業医科大学というところの研究結果だと、タバコを吸った後45分の間は、呼気(息)からタバコの成分が息として体外に出ちゃう、それでその人と会話した人なんかに「三次喫煙」させちゃうんだよということのようなんです。
イオンでは、お客さんが立ち入り、従業員は接客しますよね。そのときに、お客さんに(また他の従業員に)「三次喫煙」させることを防止させましょう。これが今回の規制の目的なんだと思います。
あの店いって「三次喫煙」受けて健康被害にあったわ、なんて言われたら、企業の社会的評価に影響しますもんね。ということです。
ですので、今回の規制は、科学的根拠に基づいた必要最低限のもので、45分前の喫煙禁止は規制として合法なのではないかと考えています。
逆に、これが労働の2時間前から喫煙禁止だったら違法になりうるのではとも思っています。

実は、今回の件よりずっと前から、この45分前禁止ルールは開始されています。2017年10月、北陸先端科学技術大学院大学では「喫煙後45分間は敷地内に入ってはならない」というルールを作られていますし、奈良県の生駒市役所は2018年4月から、喫煙したら45分間エレベータの使用を禁止しています。

今回、なぜこの話を取り上げたかというと、賛成派、反対派の人も、理論的に冷静に議論をしてほしいと思ったからです。
この世の中には、いろんな趣味趣向を持った人がいます。いろんな人がいるから楽しいんです。
そんないろんな価値観をもった人の利害を調整していくのは、ただ「好き」「嫌い」ではなく、お互いの立場を理解したうえで、冷静に議論する姿勢だと思います。

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