2022年4月から、18歳以上の少年が犯罪をした場合、厳しい処罰がされることが決まりました。
少年法という法律のルールが変更され、厳しい処罰をするというルールが折り込まれたのです。
実際、どのように厳しく変わったのは説明します。
少年法とは?
未成年の子どもが犯罪をした場合は、大人とは違うルールで罰が決められていました。
少年法というルールです。
大人と違って、子どもは精神的に未熟な面もあるので、間違いをしてしまいやすいですし、将来への改善が期待できることから、大人とは違ったルールが決められているのです。
例えば、大人はドラマで見るような裁判所の法廷で裁判を受けた後、刑務所に入ることになります。
他方、未成年の場合は、少年審判(しょうねんしんぱん)と言って、大人の裁判よりも簡単な手続で裁判官が審理し、少年院に入ることになります。
刑務所も少年院も同じでしょ?と思うかもしれませんが、自由度が全然違います。
もちろん、大人の裁判でも執行猶予(しっこうゆうよ)という制度があり、犯罪をしても刑務所に入らなくていい場合もありますし、未成年の場合でも、保護観察と言って、保護司さんと定期的に面談しなければならないものの、それ以外は普通の生活を続けられる制度もあります。
いずれにせよ、大人と違い未成年の場合は、大人と比べると罰がゆるく決められています。
なぜ、厳しくなったの?
最近、何歳から大人になる?という議論がされていました。
そして、18歳から大人と同じように扱おうというルールができました。
このルールに合わせて、犯罪をした場合のルールも18歳以上から大人と同じ扱いにしようと考えられたことが厳しくなった理由です。
未成年者による殺人など重大な犯罪がニュースで取り上げられたことも厳しくなった理由の一つかもしれません。
全員厳しく処罰されるの?
これまで、20歳までは「未成年」として、子どもとして扱われていました。
これから、少年法のルールでは、17歳までを「こども」20歳から「大人」、18歳と19歳を「特定少年」と区別することになります。
18歳、19歳の特定少年が、犯罪をした場合に全てが大人と同じ扱いをされるわけではありません。犯罪をした特定少年のうち、特に重い犯罪をした特定少年のみが大人と同じ扱いをされることになります。
例えば、人を殺したという殺人の場合、人を殴る蹴るなどしてお金や物を奪うという強盗の場合、レイプなどの犯罪です。
何が厳しくなったの?
① 大人と同じように裁判を受ける
これまでは、少年審判という簡単な手続で未成年者の将来の考えた上での処罰が決められていました。
しかし、特に重い犯罪をした特定少年には、このルールは適用されなくなり、大人と同じ裁判を受けることになります。
② 刑務所に入る期間を短くしていたのを中止
これまで特に重大な犯罪をした未成年者が刑務所に入る場合、大人に比べて、半分の期間にするというルールがありました。
しかし、特に重い犯罪をした特定少年には、このルールは適用されなくなります。
③ 仮釈放のルールの中止
知らない人も多いと思いますが、「仮釈放」というルールがあります。例えば、裁判官から懲役10年という期間刑務所に入るよう命令された場合でも、刑務所で真面目に生活していれば、10年経たなくても早めに刑務所から出してもらうことができます。
「仮釈放」は大人にもあるルールです。
未成年者については、無期懲役(刑務所)の場合であっても7年、〇年の懲役(刑務所)の場合は、その期間の1/3の期間で仮釈放、というルールがあります。
しかし、特に重い犯罪をした特定少年には、このルールは適用されなくなります。
④ ニュースや新聞で実名報道の禁止
未成年者の場合は、将来の改善に期待して罰が決められるので、将来の更生に悪影響にならないようニュースや新聞などで未成年者の名前や年齢、職業、写真を出してはだめだというルールがあります。ネットニュースでも同じです。
「少年A」などと呼ばれるのもこれが理由です。
しかし、特に重い犯罪をした特定少年には、このルールは適用されなくなります。
さいごに
18歳以上は大人として厳しい処罰を受けることになったからといって、17歳までは何をしてもいいということではありません。
高校3年生でも18歳になると大人と同じ厳しい扱いをされるというのが重要なこと
です。