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2019年4月、東京の池袋で、87歳の高齢ドライバーが車を暴走させ、猛スピードで通行人を次々とはねる事故を起こしました。
事故の内容は悲惨で、被告人の公判での主張内容も相まって批判の声が大きくなっています。

上流国民だから・・

ただ、この事故に関連して、ネットなどで、「(被告人は)上流国民だから逮捕されない!」なんて声があがりました。はじめ、私はこれを単なるネットの悪ふざけだと思っていました。が、最近、このことを真に受けている人に出会ったで、衝撃を受けたわけです。

上流国民?!

上流国民というものが何かもわかりませんが、被告人の経歴は確かに立派。旧通産省工業技術院の元院長という経歴で、勲章を授与されたこともあるということです。エリートですね。
ただ、これとそれ、被告人がエリートであることと本件事故での警察や検察、裁判所からの対応とは、全く別問題です。誰もそんなこと意識していません。

なぜ逮捕されないの?!

刑事訴訟法(同規則)という法律に逮捕の要件が書かれています。そして、そこには、
①「逃亡の恐れがなく」
②「証拠を隠滅する恐れがない」場合は、逮捕しちゃだめだよって書かれているわけです。
もちろん、被疑者が上流国民であろうがなかろうが、これは適用されます。

①本件で、被告人は、80代後半のおじいちゃんです。また家もあり、同居の家族がいます。また、例えば、事故を起こした後逃走するような態度もとっていません。また、故意犯ではなく過失犯という事情もあります。こんな事情から、逃亡の恐れはないだろうと判断されたのだと思います。

②次に、証拠を隠滅する恐れも、本件事故の場合、限りなく小さいわけです。事故後、すぐさま警察による現場検証が行われて事故状況は保全されています。目撃者は多数おり、その全てを威圧したりして証言をさせないように仕向けることは不可能でしょう。
こんな風に、逮捕の要件を検討するにあたり、その人が上流国民かどうかなど、関係がないのです。

ネットリテラシー

ネットリテラシーという言葉をご存じでしょうか。ネットで得た情報を正しく理解し、取捨選択、活用する能力のことです。
今の時代、なんでもネットで検索出来てすぐに知識が手に入ると思っている人は要注意かと思います。ネットはあくまでヒントをもらう場所で、その裏付けをとる作業がどうしても必要になってしまいます。裏付けをとる作業は地道です。きっちり基礎からなんでも学ばないといけないのです。その上で、ネット情報の取捨選択を自分の責任でやっていきましょう。

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